極彩色のモノクローム
6:熱。
「…なつ……奈津!」
誰かに呼ばれて、
私は目を開けた。
もうとっくに日が昇っていて、
目の前には、マスターがいた。
「おはよ。」
何て言ったらいいかわからずに、
私はそう言った。
マスターは眉をしかめる。
「いつから此処に?」
問われて、私は首をひねる。
「たぶん、9時半くらいから。」
私の答えに
「今、7時だって…。」
とマスターは呟いて、そして顔色を変えた。
「っか…お前…まさか夜から…?!」
言ったマスターの手が、額に滑り込んでくる。
心臓が跳ねた。
こんな風に、触れられるのは始めてだった。