極彩色のモノクローム
「あのね。」
誰もいないのをいい事に
私は口を開いた。
マスターは、
カウンターの向こうから出て来て、
私の隣に座った。
その一連の動きを
私はぼんやりと見つめる。
「何。」
素っ気ない問い掛け。
他に客がいない時に
そういえば
こうして会話を交わすなんて
今まであまりなかった気もする。
二人だけの時にしかしない
この喋り方。
嫌いではない。
「あのね。」
私は
もう一度言った。