極彩色のモノクローム

「それで、此処に来たわけ?」


言われて、私は頷いた。


会いたかったから、

とは言わない。


「此処しか、居場所…無い。」


言った声が、
掠れた。


弱ってるな、私。


そう、思った。


誰かに縋りたくて。


でも、
私には此処しかなかった。


「お前さ…。」


マスターは言った。


不意に

その手が、私の頭を引き寄せて

気付いた時には



私は、彼の肩に


額を預けていた。



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