極彩色のモノクローム

心臓が、止まるかと思った。


いや、むしろ
このまま心臓が止まってしまったほうが
幸せかもしれない。


彼が、どうしてこんなことするのかわからなくて。


上手く反応できないまま、
私はされるがままに
目を閉じた。



「すっげ…熱。」


彼は言った。


「うん。」


私は頷いた。


「帰って寝ろって言ったろ?」


言われて、私はもう一度


「うん。」


と、頷く。


シャツ越しに
伝わってくる体温は
私のそれよりかなり低い。


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