極彩色のモノクローム

いつ、誰が来てもおかしくない。


なのに、
彼の手は私の頭に添えられたまま。


これを、
どう理解したらいいのだろうか。


父性?


弱った子供をあやす、
父親としての本能?


そう思っておこう。


期待はしないほうがいい。


大人は
裏切るのが上手いから。


簡単に信じたり、

期待したりするのは

自分を傷付けるだけだ。


父性だとしたら、
少しは甘えてもいいだろう。


私はそう結論づけて、
詰めていた息を
ゆっくり吐き出した。


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