極彩色のモノクローム
細身の眼鏡の奥の
黒い瞳と目が合った。
サラリと顔の左半分を隠す
長い前髪。
顔の左側が少し黒く見える。
それを、隠しているんだろう。
何があったのかは知らないし、
どうなってるのかも
私にはわからない。
ただ、他の肌よりも少しだけ
黒みがかって見えるだけ。
「そこの階段上がって、左の部屋が寝室だから。」
指差されたほうを見る。
お手洗いとは別の扉がそこにある。
倉庫かなんかかと思っていたら、
階段だったらしい。
私は頷いて、立ち上がった。
扉をくぐって閉めたところで、
外の扉が
カランと音を立てたのが聞こえた。
「いらっしゃい。」
と、マスターが言っているのを聞きながら、
私は階段を上がった。