極彩色のモノクローム
「あのね、」

と、玲奈さんは言った。


「新曲のジャケットの絵をね、描いて欲しいの。」


玲奈さんはそう言って、
私の顔を覗きこんできた。


CDのジャケットって事?


何で、私?


「曲、聴いてみる?」


言われて、私はマスターを見た。


カウンターの向こうのマスターが、
プレイヤーにCDを入れた。


一瞬シンと静まる店内。


流れ始めたのは、
ピアノの調べ。


澄んで、
透明な、
玲奈さんの歌声。


私は目を閉じた。



色の見えない私の瞳に

淡い青が

映った気がした。



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