極彩色のモノクローム
曲が終わって
私は自分を止められなかった。
薄明かりの階段を
手をついてバタバタと上って
鞄からスケッチブックを引っ張り出した。
廊下から入ってくる明かりだけを頼りに、
私は夢中で鉛筆を滑らした。
静かな水面に、
水滴が落ちた
その瞬間。
その水面の向こうに
こちらに手を伸ばす
女の人。
イメージが先行して
手の動きがもどかしい。
私は
夢中になっていた。
周りが見えないくらい。
こんなの
はじめてだった。