極彩色のモノクローム
「少し、時間をもらってもいいですか?」


私は玲奈さんを見て言った。


「どれくらい必要?」


逆に問われて、
私はひとさし指を立てた。


「1週間。」


私の言葉に、
玲奈さんは頷いた。


「それくらいなら全然大丈夫。だって凄い。こんなに私のイメージした映像を再現してくれた人、はじめて。」


マスターの手から、スケッチブックを奪い取った
玲奈さんが言った。


そう言われると、
なんだかくすぐったい。


嬉しいけど、
ちょっと照れる。


「じゃあ、来週の土曜日に。」


玲奈さんは言って、
私にスケッチブックを差し出すと
マスターに手を振って
部屋を出ていった。



< 75 / 173 >

この作品をシェア

pagetop