極彩色のモノクローム
変な事、思い出したな。
深く息を吐き出して、
スケッチブックを取り出した。
ペラペラとめくって
常連客と
ポツリポツリ会話を交わす
マスターの絵を開く。
あの店の絵を見るだけで
私の心は平静さを取り戻せる。
目を閉じれば、
低いマスターの声まで
聞こえてくる気がする。
私はゆっくりと深呼吸をして目を開けた。
絵筆を取って、
画用紙に滑らせてみる。
淡く色付いた画用紙を見つめて、
やっぱり赤も青も同じに見える目に、
私は頭を抱えた。