極彩色のモノクローム
12:雪の降る午後。
1月も半ばを過ぎれば、
冬の気配も濃くなってくる。
「ゲッ…雪…。」
空から落ちてくる白い固まりに、
私は思わずそう、一人ごちた。
傘を叩いていた雨音が
次第に静かになっていくのを、
私は眉をしかめて聞いていた。
「ママ!雪だよ!」
マンションから走り出て来た小さな男の子が、
空を見上げてそう言った。
その、キラキラと輝く瞳に、
私は苦笑を漏らす。
そういえば、
小さい頃は雪が降ってくるのが嬉しかった。
いつからだろう。
雪が降ってきて
最悪だ、
なんて思うようになったのは。