極彩色のモノクローム
私だと気付いた彼が
ゆっくり近付いてくるのを、
私はまだ夢うつつのまま
見つめていた。
「お前ね、そんなとこに立ってると、また風邪ひくぞ。」
言われて、
私は彼の顔を見上げると、
その頭に傘をさしかけた。
「自分だってさ、こんな雪の中で傘もささないで立ってるし。」
私の言葉に彼は笑って、
私の手から傘を奪い取った。
何も言わずに歩き出したその隣を、
並んで歩く。
触れる肩にときめくなんて
中学生みたいだ。
ホント、馬鹿らしい。