極彩色のモノクローム
口の中に広がる珈琲の香りに、
私は首を捻った。
「これ…ブレンド?」
いつものブレンドはもっと深くて淡い感じがする。
この珈琲は、直球すぎるというか。
これはこれで、美味しいけれど。
マスターはそれを聞いて、満足気に微笑んだ。
「それ、ブレンドしてないやつ。さすが、奈津だな。」
言われて、私は肩をすくめた。
「私、料理人かなんかになろうかなぁ。色とか、やっぱ本当に無理。」
私の呟きに、マスターはカップを洗う手を止めた。