極彩色のモノクローム
「パパ…奈々、大丈夫?」
小さく小さく、聞いてみた。
「大丈夫に決まってるでしょう?!奈津!あんたって子は!!」
ママがいきなり大きな声で怒った。
私はビックリして、俯いた。
やっぱり聞かなきゃよかった。
でも、大丈夫ならよかった。
私はそう思っていた。
私にはわからなかったんだ。
救急隊員が奈々に何をしてるのかも、
どうしてママがあんなに怒ったのかも。
わからなくて。
ただ、
奈々が死んじゃうわけじゃないんだって信じていた。
ママの大丈夫って言葉を、
そのまま信じていた。