極彩色のモノクローム

「ご注文は。」


私がむくれたまま聞くと、
真船さんはニコリと笑って

「珈琲と軽く何か食べ物を。」

と言った。


「奈津のオムライスなんて如何でしょう。」


マスターが言った。


「何で勝手に、私が作る事になってんのよ。」


私の言葉に、真船さんが

「じゃあ、それで。」

と言って、
私は真船さんに舌を出してみせた。


昼時に忙しい時
手伝ったのがきっかけで、
いつの間にか常連客向けの隠し裏メニューに
奈津のオムライス
が加わっていた。


料理は嫌いではない。


私はカウンターの中に入ると、手を洗った。


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