極彩色のモノクローム
「奈津ちゃんはさ、商売下手すぎ。こんな凄い絵を描けるのに、お金取らないなんて勿体ないよ。」
言われた私は、
完全に戸惑っていた。
取り敢えず、
玉ねぎをフライパンに入れて、掻き混ぜる。
「だって…どういうふうに見えてるのか、わかんない。」
私の呟きに、
真船さんとマスターは目を見合わせた。
色をつけた本人が、
どんな色になってるのか知らない絵なんて、
良いわけがないじゃいか。
「コンクールとかにさ、出してみたら?」
言われて、危うくマッシュルームを床に撒き散らしそうになった。
「そんなの…」
趣味みたいなもんなのに。
人に、こんなふうに認められるなんて始めてだ。
しかも、まさか絵でなんて。