街で君の唄を聞いた
魔法だったらさ、直ぐにとはいかないけど早くには直んじゃん。
出来ないあたしが言える事じゃないけど。
「それじゃゆっくりしててね。呉々も安静にしててね。安静に。じゃ解散」
今同じこと二回言った!
きっと大事な言葉、というか心配してるからなんだろうけど、普通の顔じゃなかった。
ニコニコと笑う顔の後ろにはきっと浅黒いオーラが漂っているに違いない…!!
で、皇子は食堂を後にした。
「実際しっかり者、優しい、仲間思い、丁寧、ある意味礼儀正しい。だが鬼畜で少し傲慢」
「は?」
「今の皇子の事だ。会話と雰囲気、更に見た目で分かった。ヴィーフェルに引き継がれていたらどうなっていたのだろうな」
「は、はは…」
その三点だけで分かるのは凄い。
凄いんだけど…。
「おい、何か言ったか」
「わぁお。スゲェ地獄耳」
「君が皇子だったら今国はどうなってるかなーって話してたとこだよ」
「誰がやるか阿呆」
「先祖を阿呆だと言える度胸がスゲェ」
「あ、因みにお前も阿呆だったな」
「何だとコラ。もっぺん今の単語をいってみろ。それとも俺の空耳か?」
「ま、聞かなかったことにしとけよ。聞いた所で意味ねぇしな」
「お前うぜぇ。今すぐ一番高いところから飛び降りろよ」
「殺させる気満々だな…」