街で君の唄を聞いた
+コルクSide
風はどこから吹いても心地良い。
右から吹いても気持ちいいし、左から吹いても気持ちいい。
どうやって風が吹くのかは知らないけれど。
それでも俺を落ち着かせてくれる。
全て流してくれる気がする。
だからこの場所も、俺にとっては大事な場所となり、死ぬならこだと思ったんや。
例え大事な人が居なくとも、ここには居るのだから。
“死んだらここに埋めてもらう。約束な”
それを言って何年だ?
“何で死んだんだよ”
何度も現実から目を逸らそうとした?
“復讐、してやる”
何回そんな事を考えた?
“え、あ、ハイ。神志 冷灯です”
君がどれほどあの人に似ていたか、君は知らない。
帰ってきてくれた、生まれ帰ってきてくれた、本当はあの人は死んでいなかった。
…そう思ったのは現実逃避していただけだったと、この場所に来て分かる。
本当に綺麗だった。
本当に唄が好きだった。
本当に俺はあの人が好きだった。
何を見ようと、あの人は帰ってこない。
“私は貴方を永遠に愛している”
…俺だって嘘じゃない。
俺は好き以上に愛してる。
だからあの人の力は使えない。