街で君の唄を聞いた
ゆったりとした風が、髪の毛を靡かせる。
優しい風や。
「…貴方は罪人じゃない」
何もしていない。
なのに罪人として扱われた。
禁域に踏み込んだ、禁約を交わした、死に方だって実に無様だった…。
そんなデタラメ、誰が流し込んだのか…。
俺が知ることは未だに無いが、どうせあの人の才能に嫉妬していただけや。
それか何か恨みがあるとしか…。
「…俺は許さないよ。貴方を殺した人と、デタラメの噂を流した奴らを、許しはしぃへん」
俺は、知らず知らずの内に小さな墓に寄り添って、墓に体を預けた。
あかん、段々眠くなってきた…。
―――少しだけ、頼むな。
直ぐ起きるから。
心配なんて必要ないからな?
貴方は俺を見ていてくれれば、それでええ。
それだけでも俺は安心出来るから。
あの日見たいに笑っていればええから。
満面の笑みで、手を振って、また明日会う約束を交わしてれば、それだけで俺は――。
「貴方も私に笑って送り届けて」
そない言葉、寝る前に言ってな?