街で君の唄を聞いた

『ははは!民の事なんて放っぽって、自分の城の方が今の王様は大事なんだな!』

『全くだ。城には優秀な奴がいるだろうに、民を守らないなんて、とんだ阿呆だな。本当に王と呼べるべき存在なのか?』

『…貴様等…!』

『…先の奴か。アイツ等をやったとなると貴様は強いようだな。どれ位強いのは計り知れないが』

『簡単やった、あない奴等。もっと強いの残した方がええで?』

『ふん、軽々と口にして、痛い目見ても知らんぞ。どうせ民を守らぬ王の騎士。意気地なし達とは違う事を示そう』

『…何やて?意気地なし?俺達が?…ははっ。冗談も程々にしぃや。意気地なしはお前等の方やろ?』

『弱肉強食という言葉を知らんのか』

『知っとるわそん位。弱い奴を薙ぎ倒したりしても意味ないっちゅーことや。それで強くなっても見掛けだけや。見掛けだけで強いなんて言わへん』

『ふん。まともな事を言って勇者気どりか?痛いにも程がある』

『勇者なんて思ってるわけあるか。実はお前自身がそうだと思ってるんじゃないんか?』

『はは。面白い。お前とは馬が合わないようだな。…この場で切り倒してやろう』


『――ぐッ!!』


『!?』

『いてぇ…風で…斬られた…?』

『どこから……!』

『あそこか…!!』

『!逃げろ!!お前じゃ無理だ!!』

『痛ッ!!』

『女か。女が私に刃向かったらどうなるか分かっているだろうに…。哀れだな』

『コルクを殺させはしない…!』

『やめろ!!』

『ふん…。貴様は今此処で私に殺される。運がなかったな』

『男は女に手出しはしないもんだろ!?手前ぇそれでも男なのかよ!?』

『私に手出しする者は男だろうが女だろうが殺すのみ。邪魔する者は全て排除する』

『…貴方……可哀…想…』

『私が?愚かな』

『何も…写らない……硝子の眼…』

『…お前は死ぬと分かっていて喋るのか。命を粗末にする奴だな』

『…いつか……求める…』

『私は今のままで十分だ。この先も変わりはしない』

『違う…助けを…求め…る』

『何を言う。助けなどいらぬ』



< 119 / 236 >

この作品をシェア

pagetop