街で君の唄を聞いた
『ははは!民の事なんて放っぽって、自分の城の方が今の王様は大事なんだな!』
『全くだ。城には優秀な奴がいるだろうに、民を守らないなんて、とんだ阿呆だな。本当に王と呼べるべき存在なのか?』
『…貴様等…!』
『…先の奴か。アイツ等をやったとなると貴様は強いようだな。どれ位強いのは計り知れないが』
『簡単やった、あない奴等。もっと強いの残した方がええで?』
『ふん、軽々と口にして、痛い目見ても知らんぞ。どうせ民を守らぬ王の騎士。意気地なし達とは違う事を示そう』
『…何やて?意気地なし?俺達が?…ははっ。冗談も程々にしぃや。意気地なしはお前等の方やろ?』
『弱肉強食という言葉を知らんのか』
『知っとるわそん位。弱い奴を薙ぎ倒したりしても意味ないっちゅーことや。それで強くなっても見掛けだけや。見掛けだけで強いなんて言わへん』
『ふん。まともな事を言って勇者気どりか?痛いにも程がある』
『勇者なんて思ってるわけあるか。実はお前自身がそうだと思ってるんじゃないんか?』
『はは。面白い。お前とは馬が合わないようだな。…この場で切り倒してやろう』
『――ぐッ!!』
『!?』
『いてぇ…風で…斬られた…?』
『どこから……!』
『あそこか…!!』
『!逃げろ!!お前じゃ無理だ!!』
『痛ッ!!』
『女か。女が私に刃向かったらどうなるか分かっているだろうに…。哀れだな』
『コルクを殺させはしない…!』
『やめろ!!』
『ふん…。貴様は今此処で私に殺される。運がなかったな』
『男は女に手出しはしないもんだろ!?手前ぇそれでも男なのかよ!?』
『私に手出しする者は男だろうが女だろうが殺すのみ。邪魔する者は全て排除する』
『…貴方……可哀…想…』
『私が?愚かな』
『何も…写らない……硝子の眼…』
『…お前は死ぬと分かっていて喋るのか。命を粗末にする奴だな』
『…いつか……求める…』
『私は今のままで十分だ。この先も変わりはしない』
『違う…助けを…求め…る』
『何を言う。助けなどいらぬ』