街で君の唄を聞いた
パカ…パカ…
…〜♪
「歌だ…。歌が聞こえる…。やっぱり噂的なのは本当だってことじゃん。森も発光してるし」
「噂的って…。まあ確かに噂かもしれへんけど…」
「ハッ。どうせお前等はその噂しか知らへんやろ?俺は菓子買いながら色々聞いてきたんやで!」
「シッ!五月蝿い赤毛」
「…そんな睨まんでも…」
〜♪〜♪
馬が一歩一歩進むごとに、歌声は徐々に大きくなっていく。
歌声からして、男性。
凄く透き通るような綺麗な歌声で、少しばかり聞き入ってしまった。
――透明。
何も濁らせは出来ない。
見えない膜で覆われ、他の者を侵入させないかのように、唄は続く。
途切れなく。
「大人数でいけば危ない。それに馬に森はキツい。見張る奴と奥に進む奴と分ける。但しレイヒは必ず奥に行くこと」
「強制かよ」
「俺とカヅムは奥。双子とメレナは森の警備。何かあったら直ぐに吐くまで脅せ。手加減はするな。気を抜いたらやられるぞ」
「分かった」
「つまんねー」
「五月蝿いで」
「…行くぞ」
…e♪
…る……と…♪
唄が聞こえてくる。
草を掻き分けて進んだり、木の隙間から奥を見て問題がないかどうかを確認したりしてる。
正直面倒。
けど発光している木は本当に綺麗。
こんなの当たり前だけど見たことないし、かなりデジカメで撮りたくなった。
…キィイン
…?
今何か耳鳴りっぽいものが…。
…ィィイン
「!」
突然音をたてて風が来た。
それと同時に、木も草も音をたてて揺れている。