街で君の唄を聞いた
ま、いいか。
悪いけど自力で逃げてもらおう。
男だし大丈夫だろ。
よし、解決。
「そろそろ俺達も船に戻ろう」
「あ、うん」
「じゃあまた会えたら、その時は宜しくね」
「宜しくされたくねーよ」
ユレリアは言葉を気にしないで、にこやかに手を振っている。
今まで歩いてた経路を戻って甲板に出た。
ユレリアが命令していたのか、攻撃はしてこない。
ただ、ギラギラした目で見られてる。
目が合った奴を睨み返すと、ビクッと肩を上げて、少し青ざめた。
おお、効果抜群。
怯えてるのは、さっき投げ飛ばしたから?
「ホラ、今度はおぶってやるからしっかり掴まれよ」
「へい」
とは返事したものの、あんさん、あたしが乗っても羽動くんですか。
いやきっと動くよ。うん。
だって大体そうだし。
大丈夫だ、きっとシナリオ通りだ!
「…しょっと。行くぞ」
「何時でもドウゾ」
ふわっと浮き上がると、普通に動き出した2つの羽。
今気付いたけど、あたしが羽に挟まれてるんだったら動くじゃん。
…羽毛100%…。あったかそう…。
でも今触ったりしたら確実に、確実に墜落するから止めよう。
段々と皆様が見えてきたよ。
着いた頃には不機嫌な方が二名いらっしゃいました。
特に赤い方はかなりの苛立ちを見せている。
「あっ、まだ羽仕舞うな!」
「何でだよ」
「もふもふしたい」
「もふもふ…?やって何の得になるんだよ」
「幸福感」
「…」
「うえい、無言なら触る」
と思って、触ろうとした。
が。
「うわあああ!酷ぇコイツ!」
「ざまぁねぇな(笑)」
「うぜぇぇぇぇぇぇ!!超殺してぇぇ!!」
「よし、レイヒ殺せ!」
「レザも加勢しろ!どうせヴィーノにタイミングみて~みたいな事言われといて何もしてないから不機嫌なんだろ!?」
「ああ!」
当たってんのかよ!
いや確かに言われといて何も出来ないのはムカつくわな!