街で君の唄を聞いた
「…冷灯」
「何?」
いつもより真面目なラグアスに、少しどもる。
だっていてもと目つきが違う。
「冷灯は…」
少し俯いた様に喋った。
真剣な話だってのは判る。
判るんだけど…。
真剣過ぎて狂いそう。
普段何時もおちゃらけてる訳だし、なんつか、似合わないっつーかさ。
真剣な話に慣れてないからなのかもしれないけど。
「俺が生きててほしいと思ってる?」
力の無い笑顔で問われる。
「何を今更」
「…力を持ってるからっていう理由で死んではいけないから?」
「何で今、そんな事を聞くのか知りたいんだけど」
「…冷灯は、前向きだな…」
――遠回しに、死にたいと思うの?
それは、短い時間の中で見てきた貴方では無いんだよ。
弱い貴方を見たことが無い。
どうして後ろを振り返るの。
どうして生きててほしいなんて聞くの。
どうして貴方は、明るくないの。
知ってる貴方が見付からない。
目の前に居るのは、貴方であって貴方ではない。
あたしは、貴方を、必要としている。
「…中に行こっか」
貴方は、どこに居るの。
あたしの知っている貴方は何処?