街で君の唄を聞いた
えっ、今、『あぁ』ってユレリア、言ったの?
マジで?
「っつーわけで皆さん宜しくぅ♪」
同行、するようです。
「さてさてー。じゃあ俺ね」
城の中にある休憩所で自己紹介。
最後はユレリアの番だ。
「俺はレンム=ユレリア。こないだ二十歳になったばっか。力は光(ラミレン)。そこまで力は使った事は無いけど、まぁ多分役に立つと思うよ」
「多分って…。役に立ってもらわなきゃ困るんだけど?」
「あー…でも光だからさ、暗い中とかだったら照らせるよ」
「…あっ、じゃあ頭がつんつるてんの人に光を当てたら、目を瞑りたくなる程、てかっちゃうわけ?」
「その発想は無かったかな」
「そんなどうでもいい話はさて置き、改めて宜しく頼む、ユレリア」
「こちらこそ」
…あたしが馬鹿みたいに思えてきた一瞬。
ヴィーノさん、あんまりだぜ…。
しかもそれに直ぐ対応するユレリア。
ああもう、ムカつくな、オイ。
そのニコニコ頭ぶん殴ってやりてぇよ。
決して愛の鉄拳ではないけどもな。
寧ろ血の鉄拳で宜しい。
「―――さて、これからの事だが、暫くは西大陸に長居する。選ばれし者があと一人と解ったのならば、北大陸に寄るだけだ。…だが、現在北大陸は閉国中だ。そう易々と受け入れてはくれないだろう」
「ジュマルドが手紙送ったんじゃないの?」
「送ってはいるが…。もしかしたら王は読まれていないのかもしれないな」
「なんで?」
「北大陸は今荒れている。あの大陸は流石の夏以外は雪が降る。上手く食物等が手に入らないんだ。それに住民は“今の王は可笑しい”と皆声をあげている」