街で君の唄を聞いた

そんなあたし達二人を余所に、黙々とご飯を頂いていたヴィーノさんとコルクさんは、既に食べ終わってたという。

恐るべし早食い。
どちらが早くに食べ終わったかは知らないけど、取り敢えず二人には早食い王の称号を与えようではないか。



「二人とも、食い終わんの、早いね」

「だって食う以外は口開いてなかったし。まぁ普通?」

「そうだな。基本俺等は食事中は喋らないし、直ぐ食べ終わる。少しの時間差でコルクの方が早いが」

「え、何、もしかして気にしてん?」

「そんなみみっちい事は気にしない」

「だよな」



ユレリアは遅く来たからまだ食べてるけど、せめて口に物を含んでるときは喋るなよ。
汚ぇ。

でも食事中喋らないって、ある意味凄いな。
そして偉い。
褒め称えちゃうよ。
称号あげちゃうよ。


で、少ししたら食べ終わったけど、超デザート待ってる。
“お菓子も用意させますので”なんて言われたらワクワクするしかないだろう!



『…♪…』


「…?今何か聞こえてこなかった?」

「聞こえた」

「やっぱ?ラグアスは耳いいもんな」

「俺は聞こえんかったけど?何が聞こえたん?」

「んー…うーん………歌?」

「…歌なんて聞こえなかったんやけど…」


『……♪…』


「あ、ホラ、また」

「えぇぇぇ〜?レイヒの耳腐ってるんとちゃうんか〜?」

「お前は頭が腐ってるよ」



そんなレザは当てにならないので、よく耳を澄ましてみた。



『サぁ、今宵も宴を始めまショう?…』

『貴方ノ手を取って…踊りまショう…』

『ソノ内私は、居ナくナる…』

『私は何人も居ナいのだから』

『困ることは無いでショう?』

『貴方の元ニ、まだ居るよ』

『貴方ニは見えていナいようだけど』

『だって私は』



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