街で君の唄を聞いた

夢の中でパチパチと燃える街。
ゆっくり目を閉じて開けると、燃える待ちに変わりはないが、風景が変わっていた。
いつもの聞き慣れた声も聞こえる。
声や音も、段々と聞こえやすくなってきた。

深緑の髪の毛が見える。



(コルクだ)



一目で判る短髪。
後ろには赤い短髪。

双子が走ってくる。

二人ともボロボロで、血も流してる。
よく見れば、あたしも剣を持って、所々怪我をしていた。
だけど発光は、そのまま。
痛みなんてものは無い。だって夢だし。

でも何故かとてもリアルで。

何だか、怖い。



『レイヒちゃん!無事か!?』



そう駆け寄ってきたコルクの質問に頷く。
喋れるのだろうか。取り敢えず喋ってみようか。



『よかった。傷はこの戦争が終わったらゆっくり治そうな。あっちにヴィーノとラグアスが居る。早く行こう』



――――今、コルクは“戦争”、と口にした。
目を見開いて、驚いた顔をする。

二人は不思議な顔をする。
見れば見るほど似てるなぁ。
なんて。



『レイヒすげぇよ。人を殺さないんだもんな。傷を与えるだけで、致命傷は避けて戦ってんだし』

『周りを見て、俺も思った。流石異世界からの…否、蒼の神の生まれ変わりと言うべきか』



あたしが、この手で、人を斬った?
蒼の神って、何の事?
生まれ変わりって、何?

走りながらの会話は、疑うばかりだ。

あぁ、もう、頭の中がごちゃごちゃだ。
整理も出来やしない。
パンクしそうだ。

早く、ヴィーノ達のとこにいって、応戦しないと。


っていうか、何で戦争したの?

ここは何処さ?夢の中だろう?

何でこんなにリアルなんだ?



誰か、教えてよ。



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