街で君の唄を聞いた

さぁ、早く目よ覚めよ。
この空間になんて、居たくない。



『ラグアス!』

『三人とも!無事でよかった!!』

『ヴィーノはどうしたん!?』

『様子が可笑しいんだ!!来れば解る!』



ヴィーノの様子が可笑しいって、どうして?

クールフェイスで司令塔なヴィーノが可笑しいって、どういう事なんだよ。


なぁ、ラグアス。

どうしてお前、苦しそうな顔してんだよ?
ボロボロの服に、血が着いた槍。
頬が斬れて血が流れている。



『あっ、ヴィーノ!』



少し走った所にヴィーノが居て、レザが叫んだ。

あの時同様――力を使ったから羽が生えている。
あの純白の羽は、鮮血で汚れている。

思わずヴィーノの元へと走った。

どうして廻りに人が倒れている中、一人でぼうっと突っ立っているのか、気になったからだ。


『ヴィ…』



右側だけ長かった前髪は斬られたのか、短くなっていた。
短くなった前髪の間から覗く、右目。

普段は、両目とも、綺麗な金色だ。

だけど今は―――



『…青色…?』



コバルトブルーの様な右目。
力を使うから?
だから変わるのか?

なぁ、何も言わずに突っ立ってないで、何か言えよ。

なぁ、なぁ。

何か、言えよ。



『………ぃ』

『ヴィーノ!?』

『ゲホッ…!』



ヴィーノの血が、地面に着く。

――吐血、したんだ。
漫画でしか見ないと思ってたのに。

ズズっと気持ち悪い音がした。
その方向を見た瞬間、疑いたくなる光景を、目のあたりにした。


< 184 / 236 >

この作品をシェア

pagetop