街で君の唄を聞いた


首…否、胸元からだろうか。
不気味な濁った赤い線が、左目に向かって伸びている。

…ぶっちゃけ蚯蚓みたいでキモい。

線が目まで辿り着くと、ヴィーノが目を見開いて、苦しそうな声をあげた。



『…ぐっ………ぅ、あ゙…』



この戦火の中、呆然とする四人。
どうしてヴィーノが苦しんでいるのか、全く理解できないのだ。


…ズクン…ズクン…


変な心の音が、聞こえる。

ハッとなって慌ててヴィーノの右目を見ると、右目の周りを囲むように、円と棒らしきが広がっている。


これは、何だ。

剣を捨ててバッと右手で顔の右半分を覆う。



『…るな……ハッ…見るな…!!』



苦しそうで、耐えられない。

もしも本当ならば、ヴィーノは何か秘密を隠してる。
アイツ結構ポーカーフェイスだから、何考えてんのか、全然判らない。



『“     ”』



―――今、あたしは何て言ったのだろう?

自分で口を動かした感じが、無い。
まるで自分以外の人が喋った感じで…というか何というか。
操られたという感じではない。

あと聞こえなかったのは、何故?



『“       ”』



ほら、まただよ。

あたしは何を言っているの?



『…聖歌…。聖歌の中の、最高部しか知らない…零番目の第一楽章…?』



ラグアス?

あたし今、歌ってるの?

何で最高部の人しか知らない聖歌を歌ってるのさ?

何で?

夢なら早く、覚めてよ…?


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