街で君の唄を聞いた
唸りながら頭をガシガシと掻く。
そうだなー、取り敢えず食いもんの事でも思い浮かべよう。
きっと肉は沢山出てきて、まだ見ぬフルーツとかが出てくんだろうなぁー…へへへ。
ケーキってこの世界にあんのかな?超ー食いたいッ!!
や、甘いもん食いたい!!
最近糖分足りてない気がしてならないんだよなー。
「…涎垂れてるぞ」
「むぇっ!?」
しし、しまった!
今はヴィーノに何か奢ってもらおうと街に来てたんだった!
ホントはシェランも連れて行きたかったんだけど、殺人的な寝顔にやられて二人で行く事になった。
他の皆は街に用事が無かったらしいから、丁度街に用事があったヴィーノに付いてきた。
はー…何かお菓子食いたい。
食べ放題行きたい。
「…?ね、ヴィーノ。あの店何?」
クリーム色のこぢんまりとした建物。
屋根には煙突が付いて、何かこの世界の文字が賑やかに飾られていて、可愛さがある。
「俺もあの店は初めて見る。煙突があるから何か作っているんじゃないか?」
“何か作っているんじゃないか?”
“何か作っているんじゃ…”
“何か作って…”
“何か…”(リピート&エコー)
「おっしゃ!お菓子万歳!行くぞ!!」
「あっ、ちょっ…」
今の自分は特急列車だ。
すんごく速いよ!そこのお方!乗っていかないか?
いやぁ、失敬失敬。人は乗せられないんだった!ははははは!!
ガチャ
「あら、いらっしゃい!」
うひょあ!パンやらお菓子やらケースやらが、ズラリとショーケースに並んでますよ奥さん!
これは涎を出さずにはいられないな!
「…ノクラムさん?」
「……え?」