街で君の唄を聞いた
腹の締め付けが無くなると、背中にあった光も同時に消えた。
あまりの速さに呼吸困難になりそうだったんだけど…!
二人は普通で。
もう二人はワイワイして。
…イジメ?
「おーい、ラグアース。戻ってこーい。そこら辺に茸生え始めたぞー」
……ハッ!
今俺、めっちゃジメジメしてた!
やめやめ!
「しっつれー」
「お前仲良いとはいえそれはないだろ。もうちょっと身分弁えろよ」
まるで友達の部屋に入るかのように軽々しい入り方だな…。
恐らくユレリアには失礼の“し”もない気がする。
「お待ちしておりましたわ。ラグアス様。これをどうぞ」
「これは?」
「中に入っているのは月光樹の葉です。これがあればきっと神子様だけでなく、鳥怪族も手を差し伸べてくれるでしょう」
月光樹の葉…。
確かこれは鳥怪族の王族が成人した時に着けると聞かされた。
しかしその鳥怪族自体、存在しないと言われていた。
まさか本当にいるとはな…。
鳥怪族は月の神子に従えている。
行くついでに、ということか。
「ありがとうございます。それでは私達は神殿ふと向かいます」
「呉々もお気をつけて」
「はい、そんなワケで準備!五分後には出発するよー」
「早ッ」
一刻も早く行った方がいいからな。
早くて当然だろ。
どんな奴なのかは、今生きている人では大目に見て二人だろう。
まあ…神聖なるお人だしな。
一般人は絶対的に神子を見れない。
寧ろ見れる方が凄いよ。
もしかしたらそいつは“素質”を持ってるのかもな?