街で君の唄を聞いた

ふわりふわりと移動する神子について行く。
森の中を突き進むと、神殿が見えてきた。
…結構、デカいな。
神殿で祭りでも挙げようとしたのか、創立者は。
人一人が祈る場所なのに、これほどの広さが必要なのか?



「どうぞ。話は中でしましょう」



そう言われて神殿に入る。

ほー…。
中は壁一面絵なのか。
聖母が子を撫でるやつとか、大男に対抗する人達。
それに剣を天に掲げる十人の人達…。

…十人?



「それは最初の選ばれし者達ですよ」



えっ…マジで?
って皆思ってる。
そりゃあ、そうだろうな。
皆の視線は選ばれし者の絵に釘付けになった。



「一番左から、地(エスレント)、氷(ウェルプ)、炎(エンジ)、月(セルラ)、空(クラウン)、時(リンネ)、光(ラミレン)、陽(アルヘリア)、碧(スイナ)、海(シナレ)です。この時の蒼き神は、この十人によって救われました。今の蒼き神は違う神なんです」

「違う神?神は永命と聞きましたが?」

「…私もよくは知れていません。ですが、今の蒼き神は、異世界から来たと言われています」



異世、界。
そういえば冷灯も異世界から…。

前にヴィーノが“レイヒは血縁者かもしれない”って聞いたけど、実際はどうなんだろうか。

今は800年。
確かベルアーノが暴れたんだっけか。
そして23年前の777年に、蒼き神降臨…。
あ、もしかしてこの時に入れ替わったのか。

もし、冷灯が血縁者ならば、蒼き神は何を望んでいたんだ?



「………父さんは、23年前……事故で亡くなったんだ………。だけどちゃんと遺骨はあったし……」



…ポツリと言う冷灯は、かなり混乱している。
二人のお兄さんは生きているらしい。
遺骨があるならば、違うか。



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