街で君の唄を聞いた

「あ、そうだ。月の神子、これを」



王女に貰った月光樹の葉を神子に渡す。



「月光樹…。それではヒュレイド様に会われたのですね。……ルーデル様、クリアラ様」



ルーデル?
クリアラ?
全く聞いたことが無いな。


すると奥から足音が聞こえてきた。
それと共に、鳥が羽ばたく音…。

まさか―――。



「呼びました?月の神子」

「滅多に呼ぶことのない神子が、俺達を呼ぶと言うことは、相当ヤバいのか?」



一人は俺と同じくらいで、左耳に月光樹の葉を着けて、鴉の羽を。

もう一人は長身で、全体的に暗い色で、鷺の羽を。


この人達が、鳥怪族。
初めて会った。初めて見た。

月光樹の葉を着けているということは、成人した鳥怪族の皇子だな。



「クリアラ様は太陽の神子に伝えていただけますか。もうすぐ蒼の神を救える、と。お伝えしたら、同行をお願いします」

「解った。ルーの方はどうするんだ」

「ルーデル様は選ばれし者の方々と行動を共にしていただけます。貴方様のお力は偉大ですから」

「解りました。選ばれし者と行動するなんて、初めてですよ。僕はルーデル=スタンシスです。宜しく」

「俺はあるぞ。そこの―――月(セルラ)とな」



え?
ヴィーノと?
いやいやまさかな。

いや、でも…髪の色も、眼も、同じだ。
もしかして力を分け与えてもらったとか、ないよな?
血縁者とか、ないよな?



「俺はクリアラの血を無理矢理入れられたぞ」



い、入れられた?
契約するならまだしも、入れられたなんて前代未聞だぞ。

でも鳥怪族は月の神子だけに従う筈だ。
契約なんて出来ない。
それに血を入れられただけでは…。



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