街で君の唄を聞いた
“俺は異例”
“普通じゃない”
“半分人間で半分鳥怪”
…ヴィーノ?
お前、普段はそんなこと思わないよな?
異例って。
普段じゃないって。
半分人間半分鳥怪って。
どういうことだよ。
俺はそんなの、聞いてない。
ヴィーノ、お前は―――。
「ソイツは元々半分鳥怪だからな。飲むだけでいいんだ」
…一瞬、心臓に釘を打たれたのかと思った。
それぐらい、いやそれ以上、衝撃的だったのかもしれない。
俯いたヴィーノは、目を伏せた。
「……俺の父さんは、騎士団長だった。母さんは………白鷺だった。人間と白鷺が交わるなんて、どの本にも記載されていない筈だ。翼さえ出さなければただの人に見えるからな。それもあるだろう。もう一つは弟を産んで直ぐに亡くなった、からだろうな」
重いだろう口を無理に動かしている気がしてならない。
言い終えた後でも、まだ俯いてる。
無理をして言うことだったんだろうか。
「ヴィーノ、顔を上げろ」
冷灯がポツリと言う。
その言葉に応じてヴィーノを顔を上げた。
――バチンッ!!
「何すんっ…」
「何でそんな弱気なわけ?この腐れヘタレ野郎」
ぽかん。
周りは呆気にとられた。
誰も殴るとは思ってなかったみたいだし、しかも腐れヘタレ野郎って…。
あぁ、でも。
“何時ものヴィーノじゃない”
“護らなきゃ”
“あたしが支えなきゃ”
そう、心配してるんだね。
やっぱり冷灯は、優しいな。
ホント、異世界の人間って分からない。
俺達と思考が違うのな。
いいとは、思うけど。