街で君の唄を聞いた
サクサクと雪を踏みしめて突き進む。
段々と木が増えていく。
進んだ奧には、小さな小屋があった。
煙突から煙が出てるとなると、誰かここに住んでいるのか?
わざわざ街を離れて?
「入るわよ」
そう言ってヅカヅカと遠慮をせずに入っていくけど…いいのか?
いくら王女とは言え、無礼すぎる。
…ユレリアよりかはマシか。
「クレイアさん、お待ちしておりました。協力者はそちらの方々ですね」
「そうよ。例のアレは出来ているでしょう?」
「ええ。これがあれば王に太刀打ち出来るでしょう。しかし…」
「ちょ、ちょ、ちょぉぉぉい!!二人で話を進めるなあああああ!!」
遂に…というか、痺れをきらした冷灯が、二人の間に入って、規制をかける。
ま、俺は読めるからいいけど、他の皆は何の話か全くわかんなかいだろうな。
「あら、ごめんなさい。後で纏めて話すつもりなのよ。で、どうしたのよ」
「しかし、調和歌(ハーモング)を歌える者が誰も居らず…。それによくよく考えれば、北大陸には歌える者は居りませんし、旋律(ディシン)の譜面もありません」
「何で調和歌を入れる仕組みにしたのよ…」
「すっ、すみません…」
確かに。
何故北大陸には歌える者が居ないのに、そういう仕組みにしたんだ。
きっとこの人、腕は良いが、どこか抜けているな。
………俺が歌えるって事は秘密にしてお「ラグアスって歌えるよな?」
れ…冷灯…。
「あら、そうなの?」
「いやいや、冷灯の方が歌えますよ」
「…一つ言っていー?」
「ルーデル、どうした?」
「僕、重和歌(ハーゴング)も載ってる調和歌持ってるよ」
ほら、と言って、鞄から取り出した一枚の楽譜。
いやいやいやいや、俺歌わないよ。