街で君の唄を聞いた
「折角だから、三人…二人と一鳥怪で歌えばいいじゃないか」
ちょっ、ヴイーノ!
お前何言ってんのさ!
「あら、良いわね。丁度三音区(トリムカン)あることだし。レイヒちゃんが上で、ルーデルさんが真ん中、ラグアスが下でいいじゃない。そんなに音は無いし、直ぐに出来るわよ。さ、アレを持ってきて」
「はい」
話一人で決めすぎ…。
これも王女だから、なのか?
ルーデルは何かノリノリだし、冷灯はまぁいっかみたいな感じだし、これ絶対にやんなきゃいけねーじゃん…。
諦めて前から楽譜を見る。
あ、本当に音が全然無いな。助かる。
しっかしなー。
冷灯達と初めて逢った日以来だな、歌うの。
鼻で音程をとって確かめる。
ん、まあこの音域だったら出るかな。
「一つ言っていい?」
「どうしたのー?」
「……音程は解るけど、読み方解んない…」
「じゃあ全部“La”でいいんじゃない?別にそれでも成り立つから、問題ないと思うし」
「うわああああよかったああああああ」
心の底からよかったと思ってるのか。
よかったね。
俺もよかったよ。
だってこんな大勢の前で自分の歌声とか晒したくないからさ!
非常に感謝!
「持ってきてくれたことだし、さ、歌って頂戴」
いつの間にか机の上に短剣が、綺麗に十本並べられていた。
これに、吹き込めと?
しかも短剣ってことは、王を刺すことになるんじゃ?
「お父様を刺すことで戻るんじゃないわ。陣を作るのに必要なのよ。陣の支えるのにも使うし」
「誰がそれをやるんです?陣をやるには相当の力のある者でないと、失敗しますよ?」
「だから貴方達を連れてきたんじゃない。選ばれし者だったら、大丈夫でしょう?それに唱えたりするのはあたしなんだし」
「そしたらクレイアさんにはそれ相応の負荷がいきますよ…!?」
「大丈夫よ。だってあたし陽(アルヘリア)の選ばれし者だもの」
は?