街で君の唄を聞いた
なんだってこんな時に気になることが次々と出てくるんだ。
とりあえず、今は後回しにするしかない、か。
「なっ…誰よ貴方達!」
「あー、もーぅ見つかっちゃったぁ?だから早く離れようっていったろー」
「五月蝿いわね!あいつら倒してあの人の元へと行くわよ!」
ヘラヘラした男と、強気な女。
そいつらが進路を邪魔している。
“リバルツ様、少しお時間が掛かります。申し訳ありません”
…コイツ!リバルツと繋がっているのか!
だとしたら、ここで倒して何か聞き出せるんじゃないか…?
「よっ」
「ちょっ、蝶!?」
「気を付けて。あの類のりんぷんを食らうと厄介よ」
「へーぇ。流石は王女だな!きっと君の体を渡したら、あの人はさぞ喜ぶだろうね!選ばれし者っていうのもあるし」
「…知っていたのね」
「当たり前~。君達選ばれし者は顔写真と力まで紙載って、“ケレスィア”全員に知れ渡ってる」
「喋りすぎよ!」
そう女が言うと、男の頭を思いっきり殴った。
男は痛そうな顔をし、すぐになんともないような顔に戻った。
そして一瞬、空気が変わった。
女はこちらを睨んだまま動かなく、男は蝶を指に乗せたまま、同じく動かない。
どちらが先に動くかなんて判りはしないが、恐らく人数的にもこっちだろう。
「ヴィーフェル、レザルト、カヅム、メレナ、ここは任せたわ。私達は先にお父様の所へ向かうわ。通信機を渡しておくから、何かあったら知らせてちょうだい」
こそっとクレイアさんが言う。
そして王家の紋章がある、小さな通信機をヴィーノに渡した。