街で君の唄を聞いた
五人は頷くと、相手に振り返り、剣を構えた。
隙を作って、行けということか。
「はぁっ!!」と五人は声を出して、二人に突き進んだ。俺達もそこに混じり、相手の出方で王の元へと行く作戦。
二人は全員で突き進んだことには然程驚かず、寧ろ当たり前という顔をしてかわした。
その隙に俺達は二人を抜かして王室へと向かった。
(頼んだぞ)
「…王女さんよ」
「クレイアでいいわよ」
「じゃあクレイア。あの飄々とした男の蝶の鱗粉、何が含まれてるんや?只の紫色の蝶にしか見えへんかったけど」
「あの紫の蝶は有毒性を持つ鱗粉を撒き散らすのよ。鱗粉に触ったら人肌に直ぐ染み込んで、徐々に苦しめていくわ。免疫力が弱いと十分もしないうちにあの世逝きね。高い人は三十分はもつわ。厄介なのよ、あの蝶」
「解毒剤はあるんですか?」
「ええ、一応あるわ。ただ最近はあの蝶、発見されなかったから解毒剤が極僅かになってしまっているわ」
「…ヴィーノ達、降りかからなければいいんですけど…」
「そうね…」
確かあの蝶――フォンモンだった気がする。最近発見されないとは言っていたが、かなり昔生息していた蝶だ。
本当は絶滅していてもおかしくないんだ。
なのにどうしてあの男は…。