街で君の唄を聞いた
そして見事に青年は、最初の王となった。国名も、村名もすべて決めた。
“海の神の加護を承けた者”
青年にはそんな異名がついた。
そして波に乗って、他の大陸でも王は決まった。
ようやく、四大陸の王が定まった所で集会が行われた。
『皆、若いもの同士。仲良くしてくれ』
『あぁ。私たちと国民の為に世界を正そうではないか』
『まず、自己紹介とやらでもしなければ』
『では私から。東大陸の王、ベルアーノで御座います。以後お見知り置きを』
『南大陸の王、アルヘルトと申す』
『西大陸の王女、ヒュレイドと申しますわ』
『最後、北大陸の王、カーフィムです
彼等は直ぐに打ち解けあった。
年が近い、ということもあるからだろう。友達同士のような会話もした。
『それでは、これにて失礼』
『また話し合いましょう』
『ええ。光栄です』
『楽しい会話をお土産に』
やがて、それぞれの王にも家族が出来て幸せだった。
そう…。“だった”のだ。
『やはり、家族が出来るといいですね』
『ふふ。ベルアーノさん幸せそうですね』
『家族も大陸も支える。それが私ですよ、ヒュレイドさん』
『私も、頑張らねばなりませんね』
『妻が気が強いと多少苦労してしまうがな。ははは』
『カーフィム殿、大陸も大事にしてください』
『アルヘルトもな』
実に楽しいものだ。
実に素晴らしい事だ。
幸せの余韻に浸っていた時。