街で君の唄を聞いた
バンッ
「ん?どした?お前が俺に用があるなんて珍しいじゃねーか」
「メレナ、封印の間にレザと行け。出来るだけでいい。封印を強めろ」
「何かの儀式でもあんのか?」
「話は一部始終を話す。落ち着いて聞け」
「ん?あぁ…」
「悲劇の襲撃事件が今日起こる」
「え…それマジで?」
ヴィーノの瞳は揺らがない。
真っ直ぐ見ている。
眼で眼を刺すかのように。
「あぁ。急げ。夕刻までにだ」
「できる限りは尽くす。ヴィーノ、お前も死ぬんじゃねーぞ」
「了解」
まずはメレナに伝えた。
次はコルクに伝えなければならない。
ドンッ
「って」
「レイヒ…!?お前何してんだ?」
「何、ってヴィーノを探してた」
アイツ伝えて、レイヒは平和な世界で生まれた身だから怯えると思っていた。
だが違う。
怯えた表情や素振りを見せていない。
「知ってるだろ。夕刻に来るんだ。お前はまだ未熟なんだから大人しくしてろ。下手に手を出すんじゃねぇ」
「馬鹿だね。出すに決まってんじゃん」
「死にてぇのか?」
「いや、死ぬ気0。死んだら元の世界戻れないし、まだやりたいことめっちゃめちゃあるし」
「死ぬ覚悟が有るのか無いのかさっぱり分からないが、お前はジュマルドといろ」
「は?意味分からん」
「あのな…。ジュマルドがもしもの事で死んだらどうすんだ。誰が国を治める。王を守るのも選ばれし者の役目と思えよ」
「えーつまんなすー…」