街で君の唄を聞いた
亡くなった父さんと母さん。
父さんは騎士、母さんは魔導師。
二人にせよ、フィレシアにせよ、よく一方の事だけに集中できるものだ。
俺には無理だな。
剣術に魔術を加えれば絶対に強くなるというのに…。
ま、衰えるーなんて母さんは言ってたけど。
頭の良さは抜群にいい癖して…。
「兄貴、この腕輪なんだけど…」
「珍しいな。腕輪に魔力が宿っている」
「そうなんだ。でも何か可笑しな輝きを放っていない?」
「確かに…。ぼやぼやしているように光っているな…。そうだ、フィレシア。お前今日悲劇の襲撃事件が起こるって知っているか?」
「えっ…!?そうなの…!?」
「あぁ。だが心配するな。俺が何とかしてみせる。大丈夫だ」
「うん…。そんで今思ったんだけど、何か変わった?」
「そうか?外見が多少変わったから、ではなく?」
「中身が。何かもっと丸くなった感が…。何かあったの?」
何かあったと聞かれれば………あったな。
「あぁ。異世界から来た人がいる」
「えぇ!?その人はいい今どこにいるの!?」
「現王、ジュマルドの所にいってもらった。ついでだから、お前が学んだ魔導で援護してやれ」
「うん!!」
フィレシアを案内した後、ジュマルドに弟の事を全て話した。
かなりビックリされた。
似てないだとか、性格が違いすぎるだとか、もうちょっと工夫したら女の子に見えるなど、最終的には変態要素が入っていた。
…いい年してそれはねぇよ。