街で君の唄を聞いた
ジュマルドには、西大陸に婚約者がいる。
恐らく良いところだけ見せて、あとの変態っぷりとか見せやしないのだろう。
卑怯な奴。
これから妻になろうという人と家族になるというのに…。
自分を全て見せるのが普通だろ。
アイツは思いっきり隠している。
はぁ…。
「ところで、レイヒはまだ来てないのか?」
「いえ、先程居られましたが、御手洗いに行くと言ったまま帰ってきていませんわ」
「………迷ったな」
「恐らく」
ったく教えてやったのに…。
無駄だったか?
「兄貴」
「ん?」
「その人じゃないよな?」
「残念だったな。手洗いいった奴だ」
「へぇ。残念で悪かったね」
「何だ。帰ってこれたじゃねぇか」
「お陰様で」
「ジュマルドを守ってもらわねーとな。フィレシアもコイツらのとこにいる。迷惑かけんなよ?」
「あ?すげぇ年下みたいに扱ってんじゃねーよ」
「ハッ。三つ下だがお前よりかは精神年齢は21たからな」
「何その微妙な数値」
まあ本当にそうなんだが。
昔から色々調べたりしてたからな。
人並み以上に物知りだ。
それはジュマルドと争うぐらいだし。