街で君の唄を聞いた
バタバタバタバタ…
「不死身を解く封印は、ベルアーノがいた場所に近い。気をつけて」
「瓦礫が多いですわね…。相当城の地下をやられましたわね。全く」
「ぎゃあッ!!」
「っと」
グイッと手を引っ張られて、体が傾く。
躓きそうになったのを、ギリギリヴィーノに救われる。
アブね…。
「馬鹿。下をもうちょっと見ろ」
「…ヘイ」
「うわぁ!兄貴が女の子庇った!めっずらしー!」
「五月蝿い」
瓦礫に気をつけて進むと、少し広い広間に出た。
扉が目の前にある。
真ん中に模様がある。
「離れてろ」
ジュマルド皇子が扉の目の前に言って、何か言っている。
恐らく呪文か何かだろう。
すると扉がパズルのように、パカパカと横にずれていきながら徐々に開いていく。
「さ、入って」
祭壇の周りに皆並ぶ。
しかしジュマルド皇子が立つだろう場所に、彼は行かず、あたしたちと同じように祭壇の周りに立っているのだ。
「ヴィーノ」
「早く祭壇行けよ」
「…君はまだなのか」
「は?」
「君が祭壇へ行くんだ。他の者たちは床に手をついて。自然に魔力が送られるから」
「意味わかんねー…」
「いいから早く!早くしないと住民達に被害が及ぶ!ベルアーノの不死身を解くには君しかいないんだ!僕じゃない!」
…え?
ジュマルド皇子は皇子でしょう?
何故、ヴィーノなの?
ヴィーノは皇子じゃない。
皇子はジュマルド皇子だ。
…頭がパンクする…。