街で君の唄を聞いた
耳を澄ますと、上で破壊音が聞こえる。
…城の人達…レザとメレナは大丈夫なんだろうか…。
さっき見たときは頭から血がでてたし…。
ヴィーノがやっている、不死身を解く封印はまだ終わらない。
それ程なんだ。
それ程、難易度が高くて、危険なんだ。
“…アレフカム族…。それは王族だけしかいない…。藍色の髪の毛、黄金色の輝く眼…。私はアレフカム族を守りたい。存在を残したいからではない。ただ、心優しい一族だからだ…。私みたいに、守ってほしい…。どうか、子孫たちを殺さないでくれ…。どうか、私みたいに不死身にならないことを願う…”
「…今のが聞こえた奴はいるか」
「僕は聞こえた」
「何の事?上の襲撃?」
「何も…」
ヴィーノとジュマルド皇子は聞こえている。
けどレイとフィレシアは聞こえていない…。
選ばれし、者だけ…?
否、でもジュマルド皇子は直系王族じゃないことが分かったし、選ばれし者なんて聞いていない…。
「レイヒちゃんは、聞こえたのかな?」
「はっ!?え、あ、はい」
「…聞いていたかい?ヴィーノ」
「聞こえないわけがない。やはりルレイブとフィレシアに聞こえないということは、選ばれし者のみ…。きっと今までのベルアーノの声は選ばれし者のみ聞こえていた」
「ふむ。それじゃ大丈夫かな?」
「恐らくな」
「レイヒちゃん、君は襲撃が終わったら、城にいる選ばれし者と旅にでてもらう」
「は!?」
「他の大陸にもいるからね。集めてきて、東大陸に連れてきてほしい。但し、誰が選ばれし者なんて分からない。だから僕が他の大陸の王に話をつけておくから。ね?」
「う……………。…はぃ」
「いい子」
まだ上の騒ぎは納まらない。
苦しいの?ベルアーノ王…。