街で君の唄を聞いた
「とりあえず上へ出よう。此処に留まっていても仕方がない。それに此処は地下だ。通路が塞がれても可笑しくはない」
「そうだな。さっさとこの場から離れねぇと、面倒な事になりかねない。行くぞ」
ごもっともな二人の意見。
暗黙の了解(?)で直ぐに上に戻ろうとした…、が。
既に瓦礫の山が出来上がっている。
相当ヤバい。
地下へ通じる道は一本しかなかった。
だからここを通るしか、戻り道はないってのに…!
「どいてろ」
ヴィーノがそういって、一人だけ前に出て、あたしを含めた4人が後ろへさがる。
何かを唱え始めたかと思えば、一気にでかい音がなった。
音が凄かったし、何より勢いよく瓦礫の山がパラパラと音を起て崩れ、目を上手く開けれなかった。
「早く行かねえとヤベェ。怪我人がさらにでちまうし、怪我してる奴も更に怪我を負う。運が悪ければ死ぬぞ」
コツコツコツコツ…
皆の急いでる足音は、冷静だ。
焦っているのは、あたしだけ…。
否、正確に言えば焦っているのは、自分の心なのかもしれない。
嗚呼、もっと冷静に判断しなければ。
急いで階段をあがった先の光景は、本当に酷いものだった。
倒れてる人は大勢いるし、怪我を負って顔を顰めっ面にしてる人だっている。
何しろ気になったのが。
「レザ!?メレナ!?」
「へへ…。頑張り過ぎた」
「あなた達は喋るのをお止めなさい!傷に響きますわ!」
「…レイの声が一番効いたわ」
「ベルアーノの気配はまだ遠くには行っていない!何とかしてでも場内で食い止めるぞ!!」
「…魔力が足りなかったか…?」
すると一気にさっきの光った文字がベルアーノ王の元へと行く。
「魔力がまだある者はどこでもいい!どこかに手をついて魔力を注ぎ込め!!」
ジュマルド皇子…。
貴方は国の為…違う。人為になると、必ず血色とか変わると思う。
こんなに尽くしてくれるのだから。