街で君の唄を聞いた
…クルシイ…。
まただ。
また苦しいと聞こえた。
早く、早く解放してあげなければ。
ベルアーノ王は苦しみ、人々も怪我を負うだけだし、いいことなんて全くない。
悪い方に矢印が向くだけだ。
悪い方に行ったら、もう戻れない。
後戻りなんて、出来やしない。
出来たとしても、時間がたりない。
皆が回復する時間が足りない。
「レイヒちゃんが心配する必要ないんやで?」
「ぅおっ!?いつから…」
「今来た。どうもいてもたっても城外に居られなくてな。城ん中は騒がしいし」
「コルク…」
「ま、レザとメレナがこんなんだったら、ベルアーノさんは派手にやらかしてんな。コイツ等は見た目によらず意外と強いんやで?」
「意外とって…。それはないわ。俺とコロちゃんは顔一緒や…」
「性格が変態の奴に言われとぉないわ。つかコロちゃん言うな阿呆」
「何やと…?」
「今の事態把握出来てんのかお前等は」
ズバンと何かを斬るように。
いや、どっちかっていうと、スパッと。
一刀両断。言ってやりました。
今のあたしには躊躇何て言葉は存在しない。
かかってこいよ、今なら何時でも、(あれ、矛盾してる)ぶっ飛ばせる。いけるいける。
全てをなぎ倒せる気がする。
「つか床に手ぇ何やっとんのや。何かの儀式でもしてんのか?」
「見て分かれと言っても無理っぽいから簡潔に言うけど、魔力を送り込んでる。魔力が足りないらしいんだ。コルクも少しはあんだろ?」
「…無い」
「…は?」
「だから、無い」
「何でだよ!?」
「…話せば長くなる。外の方にも伝えておくから、死ぬなんて許さへんよ?」
「ちょ、まっ…!コルク…!!」
俯いたコルクの顔は、噛みしめてるように見えたのは気のせいだろうか。
悔しく見えたのは、気のせいだろうか。
そんな顔、するんじゃない。