街で君の唄を聞いた
辛そうな顔なんて。
君がするものではない。
……ゥ…。
嘆きの声。
きっとベルアーノ王の声だ。
じゃあ魔力は足りたって事か?
「油断は禁物!もしかしたら弾かれるかもしれない!全員気を抜くんじゃないぞ!!」
そうだ。
ここで気を抜いたら、今までの苦労が台無しになってしまう。
一人でも気を抜いたら…また暴走する。
たった一人のせいで、城を、否、人と大陸まで破壊させてしまう。
「…っく」
体中の力が抜けていく。
魔力を送りすぎたせいか…?
それともまだ熱があるせいか。
あ、そういえば熱あったんだっけ。
必死になりすぎて忘れていた。
「あともう少し…。もう少しなんだ…!!」
皇、子。
そうだ。
自分の一手で決まるんだ。
もう少しだけ…。
あと少ししたら、休もう。
頑張り過ぎてはいけないと分かりつつも、つい頑張ってしまう。
「 」
「え?」
「歌え。それが体育会系のお前が唯一でくることだろう?冷灯」
「お前…!!何でこの場に「いいから歌え」
「………何歌えばいいのさ」
「何でもいい。お前が好きな唄を歌えばいいし、最近のでも、古いのでもいい。兎に角歌え」
何でも。
何でもいいなら。
あたしは。