花の魔女


広間に続く豪勢な扉を開けると、もうナーベルとルッツ以外は全員集まっていたようだ。

みんな真剣な顔をして立っているのに、ジェイクだけはあくびをしてつまらなさそうにしている。


内心呆れながら静まり返った空間を見回して、はたと一人見慣れない人物がいるのに気づいた。


「その子は……?」

小さな子どもが、モニカのそばに立っていたのだ。

金色の美しい髪をした天使のような男の子で、ナーベルの視線に恐縮してモニカの陰に隠れようとしている。


モニカはしっかりしなさい、と男の子を叱りつけてから、ナーベルに頭を下げた。


「申し訳ありません。私の弟なんです。」


弟……、確かに目のあたりと髪の色がそっくりだ、とナーベルが納得したところで、アナベラがナーベルに近づいてきた。



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