花の魔女
そんなナーベルの隣にいたジェイクが、それにしても、と口を開いた。
「どうしてドニだけ別の場所にいたんだ?モニカはずっとルッツにくっついてただろ?」
ルッツは眉を下げてジェイクに顔を向けた。
「それには少し、わけがありまして……」
「ドニはね、シャミナード家に仕えている召使いなのよ。」
ここでようやくアナベラが口を挟み、皆一斉にアナベラを振り返った。
「シャミナードに……?」
フィオーレが信じられないという顔をすると、アナベラは続けた。
「ルッツもモニカも、昔はそうだったの。シャミナードに追放されてきたところを、私たちが拾ったのよ。」
ねぇ、とアナベラが隣にいるサイラスを見上げると、サイラスは頭を掻きながらそういえばそうだったな、と笑っている。
「確かモニカはまだ7つだったかな。こんなに小さくて……」
「やめてください、恥ずかしいです!」
モニカが赤くなりながら叫ぶと、サイラスはこれは失礼、と目をほそめた。