花の魔女







心地よく降り注ぐ太陽の光を浴びながら、ナーベルは庭を散策していた。


まだまだコートが手放せない寒さではあるが、雪は少しずつ溶けていっている。


先日モニカと一緒に作った雪だるまが、歪な形に崩れてしまっていた。


まだもう少し先、けれど確実に春が近づいてきている証拠だ。



ベルネット家の広い庭はこの季節でも綺麗に手入れされていて、文句のつけようがない。

うさぎの形にカットされた背の低い木を見つけたときは、おとぎ話の世界に飛び込んだ気分だった。



(ここでラディアンは生まれて、育ってきたのね……)



微笑みながらぐるりと庭を見回し、館を振り返ろうとしたとき

ナーベルは目の端にキラリと輝くものを捉えた。



あら?と顔をそちらに向けると、植え込みの端のほうでひっそりと光を放っているものがある。


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