花の魔女

ナーベルは植え込みに近づいて、光を放つそれの前で腰を降ろした。


どうやら花のようで、花びらは雪の結晶のような形をしてオーロラ色に輝いている。



(きれい……)



「シャワーライト、という名前の花ですよ。」


背後からサク、と雪を踏む音がして、振り返ると肩掛けを手にしたルッツが立っていた。


しゃがみこんでいるナーベルのところまでくると、肩掛けをナーベルにそっと掛けた。


「シャワーライトはこの国特有の花で、雪どけの時期だけ花を咲かせます。」


「そうなんだ。きれいね。」


ナーベルが感心して頷いていると、ルッツは少し腰を落として腕を伸ばし、2輪さいていたうちの1輪を摘み取った。


「あ……」


ナーベルが残念そうな声をあげてルッツの手元にあるシャワーライトを目で追った。


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